J-TRAIL 2014 SS
今年もトレイルラン誌「J-TRAIL」に寄稿させていただきました。
MMAからはISOさん、慶さん、そして山屋さんはシューズ、パックレビューで参加。 その他、SHMWのタクさん、信州トレマンさん、Indian Summerの林さん、dogsorcaravanの岩佐さんなどなど、道具対しての深いコダワリと愛をもった面々がリコメンドする各ギアのコメントには沢山のヒントが散りばめられていて、カタログスペックだけではわからない、
「良いものには理由がある」
という部分の知識を深められると思います。
こちらで中をチラ読みできます。 ちなみにこのJ-TRAILは通販のみとなります。
裏話的にはパックレビュー撮影の2月は大雪の影響で周囲は雪だらけ!だったので、カメラマンさんがアングルにとても苦労されいました。それから自分はパックレビューではMMAのウェアを着ていて、さり気なくパックの色に合わせて着替えてみました(笑)
また、バックナンバーの2012年秋号は昨今問題になっているトレイルランナーの山に対しての知識の足りなさについて、そのお助けとなる「トレイルランの常識非常識」特集があり、雑誌ながらいつまでも残しておきたい内容なので、余裕がある方はこの機会に併せて購入をおススメします。
tips: メッシュバッグ活用法
そろそろUTMFが近づき、周囲もバタバタしてきましたが、自分は今回抽選で外れたので超お気楽です。
さて、レースで注意したいのが行動食等をコース上で落としてしまうアクシデントです。昼夜を走り続けていると朦朧としていて、荷物をポケットから出し入れしている時に落としてしまった事に気がつかない事が良くあります。何ヶ月も前から準備をしてきたのに、そういった小さなアクシデントからレース計画が一瞬で崩れることは珍しく無いです。来年の抽選が当たるかどうかわからない1発勝負の大会なので、そうならな為にも大事なものは落とさない対策をしっかりしてレースに臨みたいものですが、自分は以下のメッシュバッグを使っています。
EQUINOX / No-See-Um Mesh Bag (small)
[caption id="" align="alignnone" width="500"] EQUINOX / No-See-Um Mesh Bag
size: S (5.5"W x 7"H), weight: 5.6g[/caption]
使い方は以下の写真を見てもらえばわかりますが、Salomon Advanced Skin S-LAB 12Lの脇下の大きなポケットに入れる荷物はこのメッシュバッグを使っています。パックに丁度良く縛り付けるところが無い場合は安全ピンでも良いでしょう。
こんな感じに収納できます。この対策をしてからは行動食やスマホなど大事な物を落とす事は無くなりました。
ちなみに、購入先は下北沢のBOSEMANです(商品リンク)。値段はジェル1.5個分くらいなので、それくらいで大きな安心を買えるなら安いものです。しかも重量は5.6g。
とにかくロングトレイルのレースではあり得ない「まさか!」が必ず起こります。怪我等は仕方ないですが、ギア関連で失敗すると本当に凹むので注意してください。特に
使った事が無いギア、ウェア、シューズ、行動食をぶっつけ本番で使う事は絶対やってはダメです!!
例えばソックス1つとっても慣れないソックスでは靴ズレを起こしたり、食べた事が無いジェルで気持ち悪くなったり、思わぬアクシデントを生むので最低2回はトレイルで試したものを使いましょう。
ちなみに、昨年自分が出た時のギアでの失敗と言えばレギュレーションの「熊鈴」を忘れてしまったのですが、そもそも熊鈴の文化が無い外国人選手が会場のショップブースで熊鈴を買い漁ってしまった後で、熊鈴を買えずに河口湖のファミレスで見つけた鈴付キーホルダーを買って何とか荷物チェックを通過したという事がありました。
今回のUTMFは公式ボランティアで参加予定です。コースのどこかでお会いしましょう!
tips: 花粉症の味方
チーム100マイル:トータス日記(1)
ラダートレーニング
毎週1回、公園で早朝にラダートレーニングをしている。ラダートレーニングとは縄梯子を地面に置いて、ケンケンパのような動きをするトレーニングだ。サッカー部の人ならほとんどの人が経験があるトレーニング方法と思われる。
トレイルランニングはロードのランニングと違って地形が常に変化していて、とっさの判断の連続だ。普段行き慣れない場所で走るのだから、転んで怪我をするのは当たり前・・・ではあるが、多くの人は脳と脚の神経が上手く連動していないことで転倒をしているという事に気がついていないのではないだろうか?実は自分が思ったところに足が置けていないという「脳と体のズレ」から様々なアクシデントを発生させている事が考えられる。
脳で思っている事と体の動きが違う⇒コケやすい、コケる⇒怪我した、痛い⇒怖くて体の動きがさらに硬くなる⇒さらにコケやすい...という負のスパイラルに陥ってしまっているのではないだろうか?
周囲を見回すと、元々サッカー、野球、バスケ、テニス等球技をしていた人はトレイルランが速い人が多くはないだろうか?逆に陸上部出身でロードは速いのに、トレイルではそんなに速く無いという人も多かったりする。それがなぜなのか?を考えると、球技は読めないボールの動きを瞬時に判断して体を動かすスポーツなので、脳と体の動きが瞬時に反応する神経経路が既に出来あがっているから、トレイルでもそれが活かされるからだと思う。そして、どんな路面が来ても対応に慣れているので身体も脳もリラックスしていて無駄なカロリーも消費しない(脳は一番カロリー消費する臓器と言われている)のでロングトレイルでの燃費も良い。だから元球技の選手はトレイルが速いというのが自分の仮説だ。
遡ること2年ほど前。トレイルで派手に転んで額を切ってしまった事があり、それ以来下りが怖くて攻められ無くなってしまっていて、このトラウマをなんとか改善できないだろうか?と思って、辿りついたのがラダートレーニングだった。
実際にラダートレーニングを導入してみたところ、3週目くらいから体感で効果を感じはじめ、3ヶ月目くらいからはトレイルへの恐怖感が無くなり、下りで根が絡み合った場所があっても、足を思った所に"確実に置ける"ようになったのでスピードを殺さずサクサクと越えていくことができるようになった。結果、トレイルを恐怖感無くスムースに余裕をもって走れるようになって、既にあのトラウマは過去のものとなっていた。また、例えコケても素早く体勢を立て直したり、受け身ができるようになった。
元々球技の運動部出身じゃないし、年齢的にもそういった運動神経を作るのは無理ではないか?と思っている人がいたら、そんな事はないというのが運動部経験が無い自分が証明しているのでそこは心配しなくて大丈夫。頻度も週1回~2週に1回、20分~40分で充分。特に近場にトレイルが無い街中に住む人にとっては、ラダートレーニングはトレイルに近い人との差を縮める良いトレーニング方法だと思う。
(上記のビデオは朝6時半頃の撮影だが、冬なので真っ暗。)
UTMB 2013 (3) Champex – Chamonix
「そう、この景色が見たかったんだ!」
2009年のCCCの時はガスに隠れて見えなかったモンテ峠から遠くのモンブランを見通せる素晴らしい景色が目の前に広がっていて、悩まされていた眠気はいつの間にかどこかに消えていた。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] (クリックで拡大)[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="500"] ラスボスのモンテ峠を攻略[/caption] 【22】Col des MONTE - LA TETE AUX VENTS 157,9 km [caption id="" align="alignnone" width="500"] 遠くに朝日が当たって見えるのがモンブラン(クリックで拡大)[/caption] モンテ峠を過ぎると、ダラダラと走れるいやらしい登りが続く。しかし、既に走れる脚は終わっていてストックを突きながら早足で進む。トップ選手達はもちろんここを走っているのだが、少しでも油断すればガレた岩で脚を捻ってしまう。体力だけではなく、150kmを越えてもなお最後まで相当な集中力が必要だ。上位陣とのこの差は何だろう?を問いながら進んでいた。 本当に最後の登りとなるヴェンツ峠に到着。眼下にシャモニーの街が見えて来る。ここから先にはこれ以上の高さの山は無い。ここまで来るとチェックポイントのスタッフや応援の人達も和やかな雰囲気だ。あとは街まで下るだけだ。 【24】LA FLEGERE 161,5 km 最終エイドに到着。ここを通過するとゴールで待つ人にあと1時間半で下山してくる事がわかる。脚も特に異常は無く、眠気も無い。最後の最後に脚首を捻らない事だけを注意しながら下りを走る。登る脚は残っていないが、下れる脚はまだ残っていた。途中途中でCCCやTDS等他のレースに出ていた仲間たちが応援で山に入っていて、顔を見るとほっとした。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] 眼下に見えるシャモニーの街[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="500"] シャモニーの観光本には必ず載っているフローリア小屋[/caption] 【25】CHAMONIX 168km しかし、安心するにはまだ早かった。時計を見ると41時間を越えるか、越えないかのギリギリの時間だった。当初の最低目標は40時間以内だったが、なんとか40時間台以内にしようと最後の力を振り絞って悪あがきをしていた。間もなくトレイルを抜け、道がアスファルトになってシャモニーの街に入った。沿道から応援をもらいながらゴールを目指す。殆どの選手がゆっくり楽しみながら走っているが、1人の日本人がやけに汗をかいて必死になって飛ばしている(笑)。 しかし、ゴール手前で応援の仲間達を発見し歓喜のハグ。そして念願のUTMBゴールをくぐった。41時間は越えたか?と思っていたが、40時間59分47秒という結果だった。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] ゴール直後[/caption] ゴール後、もう一つ念願だったUTMB代表のカトリーヌさんとのハグという名物儀式も狙っていたが、残念ながら彼女はその時ゴールにはいなかった。そして、フィニッシャーベストを受け取るのに列に並んでいると、ゴールで待ってくれていたsasashinさんから「何か飲みたいものは?」と訊かれて、「シャンパンを」
とお願いしたら、近くのCafeからシャンパンとグラスをもったウェイターさんを連れて来てくれたのだ!この時注がれたシャンパンの味は今でも思い出すくらい美味しかった。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] そして、ストックよありがとう![/caption] そして、UTMBはまだ終わってはいない。続々とゴールする仲間を待ち受ける。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] チーム100マイルのようこさんが悲願の完全FINISH達成。昨年のUTMBで関門切りでバーコードをカットされたゼッケンを毎日見えるところに貼っていたという話を後で聞いた。[/caption] [caption id="" align="alignnone" width="500"] そして何やら騒がしい集団が来るなと思ったら、MMAのblogを開始したこの高木兄弟ゴール![/caption] [caption id="" align="alignnone" width="500"] カトリーヌさんが現れたので、ちゃっかりと念願のハグもゲット。左は日本人主要選手のサポートでモンブランを誰よりも駆け回ったニューハレの芥田さん。大会前後でもお世話になりました。[/caption] というわけで、仲間達のゴールを見届けUTMBの挑戦は終わった。 『まとめ』 UTMBを完走した直後にSNSで身近の人に対して書いた感想は「地獄のように苦しく、天国のように美しいレースだった」
と書いた。今もこの感想は変わっておらず、これまで八ヶ岳スーパー100マイル、UTMFと2回の100マイルレースを完走したが、UTMBはこれまで味わった事が無い辛さで、
「UTMBはUTMFの1.5倍辛い by Tsuyoshi Kaburaki」
は本当だった。何が辛かったんだろうと思うが、UTMBは登りの距離がとにかく長かった。登っても登っても山頂に着かないのだ。また、平均標高も高いので自分が思っている以上に身体への負荷が高く、いつの間にか体力が削られている感じだった。特に前半の何でも無い緩いトレイルなのに(1)で書いた異常な心拍の上がり具合は今思えばヤバい状態だった。そして、日本の山のように森の中を進む区間が少なく、強い日差しが体力をジワジワと奪っていく。これが過去の大会ように雪が降ると今度は寒さで体力が削られる。暑くても寒くてもどちらにせよ、めまぐるしく変わる環境の変化の振り幅が日本の大会より大きい。国内のレースでさえ万全の体調で望むのが難しいのに、慣れない海外遠征で時差ボケも加わり、数日間で自分の体調を整えてUTMFより辛い100マイルレースをスタートしなければならないのだ。タイムはどうであれ、それら万難を排して完走した人は本当に凄いと思う。そして、完走できなかった事は全く恥ずべき事ではない。それくらい厳しいレースだと思う。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] セーニュ峠での夜明け。この動画と同じ場所⇒■[/caption] そして「美しさ」については、とくに最初の夜明けに通過したセーニュ峠と2回目の夜明けで通過したモンテ峠からの景色は目の前にあるリアルな景色なのに脳ではそれを信じられず、なんだか脳と身体が分離してフワフワと夢の中にいるような感覚だった。自分が死ぬときはこの景色を想いながら死にたい。そう思えるほどの圧巻な景色だった。 完走出来た理由を振り返ってみると、4月のUTMFで胃腸のダメージでリタイヤ寸前だった自分が仲間の励ましにより復活して完走出来た経験を持てた事。次にチーム100マイル練習や夜のpark練で限界まで追い込んだ練習を経験したことで、どんなに苦しい場面でも「あの時と比べたら楽。練習に比べたら楽。」と思えるようになったこと。この2つの心の支えがあったからこそ、何度も訪れる苦しい場面をなんとかやり過ごすことが出来た。 そして、運もあった。前半の心拍が異常に上がってヤバかった時はサポートのmoto君のアドバイスがあったことで回避できたし、後半の眠気でフラフラの時にちょうど周囲に日本のトレイルラン仲間がいたことで楽しみながら危機的状況を回避する事が出来た。 こうして並べてみると、練習にせよ運にせよ全て自分だけでは解決できなかった事だらけだ。走っているのは自分1人だが、1人の力だけでは完走出来ない。今回のUTMBという100マイルレースでは特にそれを強く思ったし、100km以下のレースではこういった思いに至ることは無かった。よく「100kmと100マイルは違う」と言われるが、それが身体的な辛さだけでは言い表せない100kmを越えた先にあるこの「不確かな何か」だとわかった。そしてその片鱗を今回のUTMBで初めて感じる事が出来たように思う。 5年前に500mも走れなかった時から始まったトレイルランへの挑戦は、今回のUTMB完走をもって一区切りするところに来た。次なる目標は何か?を現在探している最中ではあるが、今回感じた「100kmの先にある不確かな何か」が何であるのか?をもっと知りたいという興味が日増しに強くなっている。 [caption id="" align="alignnone" width="500"] UTMBの抽選が決まってから、1枠空けて毎日見える位置に置いていた。何としてもここを埋めるんだと思いながら過ごした。これも完走へのモチベーションとなった。[/caption] UTMB2013レポート(完)ひやかしエントリー撲滅運動
UTMBのエントリーが開始されていますが、自分も含めて実際に行った人達が毎年何百人と増えているので既に珍しい大会でもなく、ホノルルマラソン並みに身近な存在になっているし、この大会で得た素晴らしい経験を1人でも多くの人に味わってもらいたい、と思ってこうして記事を書いていますが、
「当たったら出るかもね」 または 「当たってから考える」
という軽い気持ちでエントリーする方に気をつけて欲しいのが、UTMBの公式HPでは誰がエントリーして誰が当選して、誰がエントリー代金を払ったか?払っていないか?が誰でも見られるLISTがweb上に公開されています。
なので、高倍率の抽選の難関を通って当選したにも関わらず、お金すら払わず放置しているとそれが誰かが直ぐにわかってしまいます。そしてそのリストは大会前までweb上に公開され続けます。(UTMBに限らず、海外レースの多くは公開されている場合が多いです)
何らかの問題でDNSになる事は理解できますが、抽選で当たったにも関わらず、エントリー代を払う気が無いのにエントリーするのは絶対やめてもらいた。そして、もしそんな人が近くの友人にいたら・・・?自分はその人と友人である事をやめるでしょう。それくらい真剣に目指している人がいるという事を認識して真剣にエントリーするべきです。これはUTMBに関わらず全ての抽選の大会に言えることですが。
で、既にそうなる事を知らずにエントリーしてしまった人は、utmb事務局に
「エントリーしたがキャンセルしたい」
と一言メールすれば抽選前までに削除してもらえるので、リストに載ることはありません。